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2011年12月07日

ヤウム・アル=アーシューラー

昔々。
第2代正統カリフウマル・イブン・ハッターブが、
「預言者ムハンマドがマッカからマディーナへ聖遷(ヒジュラ)したのは、
ユリウス暦でいうと622年(正確な日付は622年7月16日)」
だとして、これを「ヒジュラの年」と定め、
この年をヒジュラ暦元年とする新たな暦を制定した。

これがヒジュラ暦(イスラム暦)

ヒジュラ暦は、完全な太陰暦。
月の満ち欠け「のみ」を参考にするので、1年は概ね354日となる。
しかも閏日や閏月を用いない。

だから毎年グレゴリオ暦(いわゆる西暦。一年は概ね365日)と11日ずつずれてゆく。
しかも補正はしないから、ずれまくって、季節とも全く合致しない。

そんなわけで、農業や日常生活なんかには使われず、
もっぱら宗教行事のみに活用される。

ま、中にはサウジアラビアみたいに公用の暦として使っている国も無いではないんで、
サウジへちょっと出掛けてみようかとか、ビジネスしてみようとかいう向きは、
ちょっと気を付けた方がイイかもね。


んで。

ヒジュラ暦の第1月はムハッラムと言い、
年の初めの神聖な月とされている。
なにしろ、聖なる都が移った目出度い月だから、
この月の間の争いごとは宗教的に御法度とされる。

しかも、
「聖遷の後、ムハンマドは断食をした(実はユダヤ教の『贖罪の日』の断食の真似っこ)」
なんて言い伝えがあるものだから、
敬虔な信者の中には、
ムハッラムの10日(「ヤウム・アル=アーシューラー」=「10番目の日」の意)に断食をしたりもする。

シーア派という宗派の人たちは、彼等にとって重要な人物である
フサイン・イブン・アリー・イブン・アビー=ターリブの殉教の日が、
ちょうど「ヤウム・アル=アーシューラー」であるとして、
この「偉大なイマーム(指導者)」を追悼するために、盛大な追悼行事を行う。

フサインの殉教を哀悼する詩が朗読され
殉教したときの様子を再現する宗教劇が上演される。
人々は大声で喚き、涙を流してその死を嘆き悲しむ。

やがてフサインの棺を模した神輿が担ぎ出され、
人々は鎖で自分の体を鞭打ったり、時には刃物を打ち付けたりして哀悼の意を表現する。

この「自傷行為」は、
一応は「フサインの苦難を追体験すること」を目的とした「宗教行事」ということになっている。

精神的な高揚があるから、その時には痛みは感じないんだろうなけども……。

posted by 何処苑雫零霞 at 14:35| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2011年11月24日

ドギャァァァン、て感じで。「ジョジョ風アバターの作成法」

ジョジョ風アバターの作成法

色々なアバターがある中でも、異彩を放つ「ジョジョ風アバター」のご紹介レポートです。
ジョジョってご存知ですか?
「ジョジョの奇妙な冒険」というマンガになります。
このマンガは根強い人気があり、シリーズ化されています。
他の人と差別化を図りたい方、ジョジョが大好きな方にはおすすめのアバターです。

 無料レポート
 「ジョジョ風アバターの作成法
posted by 何処苑雫零霞 at 19:46| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2011年11月20日

むぅん。

泣ける話、っていうのは、(こう言うと語弊があるけど)割りと簡単に書ける。

例えば、人が死ぬ。
例えば、大切な人と離別する。
例えば、念願が叶わない。
例えば、失恋・破局する。

こういうエピソードがあると、泣けてくる。
いかん、箇条書きにしただけで泣けてきた。
(だから『ただ泣けるだけでない「悲劇」』はバランス取りが難しい)

所が、笑える話、っていうのは、そうとう難しい。

単純に「笑かす」だけなら、
お尻とか、大便小便とか、
落とし穴に華麗に転落とか、
顔が残念とか、体系が不細工とか、
そういう「下ネタ」「ミスやドジ」「欠点」を「嗤う」方向に持ってゆくのが楽なんだけど
もっとこう……
くすっと、ドッと、ドカンと、「楽しく笑う」ように話を持って行くのは、
本当に難しい。

上質なコメディの書ける人って、天才だとつくづく思う。

posted by 何処苑雫零霞 at 21:36| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2011年11月16日

色(Color)、透明度(Clarity)、カラット(Carat)、カット(Cut)

宝石としてのダイヤモンドは、普通は
色(カラー color)、透明度(クラリティ clarity)、重さ(カラット carat)、研磨(カット cut)
の「4C」で価値が決まる。

色は無色で、透明度が高く、重く大きく、美しく磨き上げられた物。
そういうのがお値段が高くなるわけ。

だから、
色が黄色っぽかったりすると、
如何に不純物や傷が無くてそこそこ大きくて研磨が素晴らしくても、
お値段はお安くなるわけだ。

普通は。

この「色」が飛び抜けて美しかったりすると、
途端に「4C」の基準から外れる、と。

特に黄色。

「4C」の基準では、黄色がかっているとランクが下がることになっているのに、
「綺麗な黄色」だと「カナリアンイエロー」なんて呼ばれて、
中途半端に白いヤツより珍重されたりする。

ま、何でも「突き抜ける」と価値観が変わるって事ですかね。

posted by 何処苑雫零霞 at 13:45| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2011年11月07日

炭酸カルシウムの結晶。


方解石(カルサイト)は炭酸カルシウムが主成分の鉱物。
科学部質的には「炭酸カルシウム」

無色透明な物を特に氷州石(アイスランドスパー)と呼ぶ。

透明なくて乳白色なカルサイトは、石灰岩(石材としては「大理石」)。
理科の実験で、塩酸に入れるとシュワシュワと炭酸ガスを出した、あれね。

無色透明なカルサイト(アイスランドスパー)は
透かして物を見ると、向こう側がダブって見える「複屈折」と言う特徴がある。

バイキングはこの性質を使って、曇りの日に太陽の位置を確認していた、と。

ちなみに「スパー」ってのは、
「劈開があり、主に非金属の結晶性鉱物の総称(by ウィキペディア)」
つまり、特定の方向にわれやすい性質を持つ、金属じゃない鉱物のこと……多分。
すなわち「アイスランドスパー」は、アイスランド産の(物が有名な)、ひっぱたくとすぱっと見事に割れる性質のある、金属じゃない綺麗な石ってことで。
大雑把に言うと、ですが。

因みに因みに。
現在「サンストーン(和名:日長石)」と呼ばれているのは、アイスランドスパーじゃなくて、
オレンジ系の石の中に金色のアベンチュレッセンス(内包物がキラキラ光って見える効果)のある長石(フェルドスパー)類のことだったり。

鉱物とかパワーストーンとかの名前って、覚えるのが大変。
posted by 何処苑雫零霞 at 07:56| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2011年11月01日

ムスリルの【義務】


イスラム教徒は、最低でも一生に一度はメッカへ詣でなければならない。

メッカにあるマスジド・ハラームという礼拝堂に行き、
カァバ神殿の回りをグルグルと七度巡る。
最初の四回は急ぎ足で、後の三回はゆっくりと、反時計回りに回る。
そして回る度に、黒石(ハジャール アスワド)というご神体(と云う表現をすると、多分ムスリルに怒られるだろうけど)に七度触れるか、可能であれば接吻する、
それが最終目的。

ま、巡礼月には世界中から巡礼者がやってくるンで、
カァバの納められた銀の容器には、近付くことすら困難。

触ったりキスしたり出来ない場合(こっちのが大半)、
神殿回りを堂々巡りする間に、カァバの方角を七度指させばよい、
という抜け道もある。

大巡礼《ハッジ》にはカアバ神殿詣で以外にも色々作法があるんだけど、
ややこしいんで割愛。

で、無事に巡礼期間中にミッションコンプリートした人は、
野郎であれば『ハーッジュ(または「ハーッジー」)』
女性ならば『ハーッジャ』という尊称を得て、
イスラム社会で大変尊敬されるようになる。

大変尊敬される、ってことは、
それを成し遂げることが非常に難しいってことだってことでもある。

つまり、成し遂げられない人の方が、実は多いんじゃないかと。

一応、大巡礼《ハッジ》は
「体力(と、長期旅行の出来る財力)」がある人がおやりなさい、
ということになっているそうな。
クルアーン(コーラン。イスラムの聖典)によれば、
カァバの黒石というのは、
アッラー(神様)がアーダム(アダム)とハウワー(エヴァ/イブ)に
生贄の祭壇を作るに相応しい場所を知らしめるため、
天(天国)から下した石、ということになっている。

天から落ちてきたと云うのを信じるなら、
黒石は隕石(あるいは、隕石由来の天然ガラス「テクタイト」)ということになる。
伝承では「月から飛来した隕石」とされている。

実際、鉱物としては天然ガラス「らしい」

あやふやなのは、現在黒石は
銀の枠に銀の鋲で固定されていて、外すことが出来ない
……ていうか、ご神体を引っぺがして科学的調査をしようっていう「不心得者」がいない
あるいは、そんなことをしたら即座に石打にされること請け合いだから誰もやらないので、
本当のところは判らないってことで。
ともかく、伝承を信じるなら、
アダムとイブは石が示した場所に祭壇を築いた。
それがすなわち世界初の寺院(神殿)であり、石はその神殿に据えられた。

所が、大洪水(「ノアの方舟」のアレ)が起きた時、
神殿も石も流され、所在が判らなくなった。
あ、因みに「ノア」はイスラム的発音だと「ヌーフ」ね。

しばらくの間は、黒石と最初の神殿はすっかり忘れられた存在だった。
……んだけど、やや時代が下がった頃、
大天使ガブリエル(ジブリール)がその場所をアブラハム(イブラーヒーム)に教えた、と。
で、アブラハム父さんは長男でアラブ人の祖とされるイシュマエル(イスマーイール)と一緒に、
石を保管する神殿を建てた。

これがカアバ神殿縁起。

ざっと紀元前4000ごろ創建、紀元前2300年〜2200年ごろいっぺん破壊、
紀元前2100年ごろ再建、という、古いお寺というなのね。
posted by 何処苑雫零霞 at 17:14| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2011年10月28日

流石です。

中国の男子刑務所に「囚人同士の恋愛禁止」の注意事項 / 中国腐女子「じゃあ看守とはいいんだよね?」
byロケットニュース24(β)
識字率の問題があるから、イラスト化したんだろうけどねぇ。

暗に妄想しろって言っているようなモンだぞ、こりゃ。
posted by 何処苑雫零霞 at 22:45| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

不和と争いの女神

エリスとはギリシア神話において、
軍神アレス(ゼウスとヘラの子)の妹、
または
夜の女神ニュクス(カオスの娘)の娘、
とされる女神。

ローマ神話のディスコルディアに相当。

「不和と争い」の女神。

彼女を「遠因」として発生したこんな神話がある。

主神ゼウスが海の精霊(ニンフ)テティスに懸想した。
しかし、法と掟の女神テミスが
「彼女は父より優れた子供を産む」
と預言したため、
主神の座を追われる事を懸念したゼウスは彼女を諦めることにした。

その後ゼウスはテティスにプティア王ペレウス(アイギナ島の王アイアコスの子)と結婚することをすすめる。

テティスとペレウスは相思相愛となり、
間もなくペリオン山で結婚式が行われることとなった。

多くの神々が招待されたこの宴に、エリスは何故か招かれなかった。

彼女は腹いせにこの宴を台無しにしようと企んだ。

宴の場に、
「最も美しい女神に」
と記した「黄金の林檎」が投げ入れられた。

投げたのは当然エリスだ。

この林檎を巡って、
ヘラ、アテナ、アプロディテの三人の女神が争いを起こした。

即ち、この林檎を送られるに相応しい「最も美しい女神」とは、自分に他ならない、
と、三人が三人とも譲らなかったのだ。

ヘラは主神ゼウスの妻にして、神々の女王、結婚と母性の女神。
アテナは知恵と芸術と工芸と戦略の処女神。
アフロディテは愛と美と性の女神で、その夫は乱暴者の戦神アレス。

力のある女神達の争いに、他の神々は口出しが出来ない。
(下手に一人の女神に「あなたが一番美しい」なんて言おう物なら、他の女神達から呪われるに決まっている)

争いごとは長々続いて収まりが付かなくなってしまった。

そこで、主神ゼウスはイデ山に済む「パリス」という羊飼いに、誰が一番美しいか裁定させることにした。

これがいわゆる「パリスの審判」。

このパリス、
実はトロイア王プリアモスの息子で、本名はアレクサンドロス。

お母さんが悪い夢を見て、災いを生むと神託を受けたため、捨てられ、
イデ山の羊飼いに拾われて育った。
長じて、オイノネという予言と薬草の知恵を持つニンフと夫婦になって、
自出を知らず、羊飼いとして平和に暮らしていた。

この時点では、可愛い嫁さんと平和に牧歌的に生活する、
何のヘンテツもない一人の男に過ぎなかった。

そしてそこにパリスの元に女神様が団体でやって来た、と。

三人とも美人だし、三人とも力のある神様だし、
当然パリスも悩むわけだ。

そこで、女神達はパリスを買収しようとした。

ヘラは、
「私を選んだら、アーシアの君主の座を与えましょう(富)」

アテナは、
「私を選んだら、どのような戦争でも勝利を得る力を与えましょう(権力)」

アフロディテは
「私を選んだら、世界で一番の美女を与えましょう(性愛)」

一介の平和な羊飼い(本当は王子さまだけど、そのことを知らない)パリスにとって、
「富」も「権力」も、あんまり意味がない。

でも、男だからね。
綺麗な女には大いに興味がある。
「アフロディテがこの中で一番美しい」
と言ってしまった。

まあ、これでこの騒ぎそのものは「一件落着」だったわけですが……。


アフロディテが言った世界一の美女は、
スパルタ王の王テュンダレオスと王妃レダの娘「ヘレネ」。
彼女は後に「双子座」として天上に上げられるカストルとポルックス兄弟の妹。
実父は白鳥に化けてレダ母さんに夜這いをかけたゼウス。
ヘレネはポルックス兄さんと同じ卵から生まれた半神だった。

ちなみにカストル兄さんにも同じ卵から生まれた双子の妹がいて、
名はクリュタイムネストラ。

彼女も素晴らしい美人で、初めはタンタロスという男と結婚していた。
相思相愛だったが、タンタロスが戦死。
寡婦となった彼女を夫の従兄弟であるミュケナイ(ミケーネ)王アガメムノンが妻に迎えていた。

さて、世界一の美女ヘレネを妻にしようと、
スパルタのお城には求婚者が山ほど押し掛けて来ていた。
困ったテュンダレオス父さんは、イタケ(イタキ)王のオデュッセウスのアイデアを頂戴して
「誰がヘレネと結婚しても恨みっこ無し。そいつが危機に陥った場合には、全員でその男を助ける」
と全員に誓いを立てさせた。

んで、選ばれたのがミュケナイ(ミケーネ)の王アガメムノンの弟のメネラオスという男。
メネラオスはレダと結婚して、スパルタの王位を継いだ。

この結婚ににヘレネの意思が反映されていたかというと、甚だ疑問。
だからなのか、どうも彼女は旦那が好きになれなかったのかも知れない。
あるいは、実父であるゼウスの「浮気性」が遺伝していたのかも知れない。

彼女はトロイアからやって来た「王子さま」に一目惚れしてしまった。

トロイアの王子……すなわち、色々あって実家に戻ったパリスは、
アフロディテに唆されて、糟糠の妻オイノネを捨てて、
船を拵えてどんぶらことスパルタまでやって来たのだ。

ヘレネを略奪するために。

そしてヘレネは旦那も娘も捨てて、パリスについて行ってしまう。

当然、メネラオスは怒る。
オデュッセウスとともにトロイアに赴いてヘレネーの引き渡しを求めた。

しかしパリスは拒絶する。

だって、絶世の美女で、女神様からのご褒美(賄賂)だもの。
そうそう簡単に手放せるものか。

そこでメネラオスは、
実の兄且つヘレネの姉妹クリュタイムネストラの旦那であるアガメムノンを総大将に据え、
婿選びの時の「誓い」を引っ張り出して国中の英雄達を招集した。

所が、いざ出征と言うときに逆風が吹き、艦隊は出航できなくなる。

どうやら戦の前にアガメムノンが狩りの女神アルテミスを愚弄したためらしい。

総大将アガメムノンが神託を伺うと、
「娘イピゲネイアを女神アルテミスに生贄として捧げよ」
と出る。
悩んだアガメムノンは、自城に手紙を書き送る。

「クリュタイムネストラへ。
 自軍に勇者でイケメンと名高いアキレスがいる。
 彼がイピゲネイアを妻に迎えたいと言っている。
 戦が始まる前に結婚式を挙げたいから、娘をこちらへ寄越すように」

アキレスはあのテティスとペレウスの子供だ。
テティスはこの子供を溺愛していた。

不老不死になると聞いて、
赤ん坊の足首を掴んで、冥府の川ステュクスに頭からザップり浸けたり、
(んで、この時お母さんが掴んでいて川の水に濡れなかった踵がアキレスの弱点、すなわち「アキレス腱」の語源)
火で炙って「限りある命である人間の部分」を焼き尽くそうとしたり、
と、過激な行動を取っておりました。

まあ、テティスは神様でアキレスは半神だから、
こういう過激な養育で死ぬようなことはなかったのけど、
流石のテティスも人間であるペレウスには特殊な養育法を見せたくなかったらしい。

ペレウスに見咎められたテティスは、実家(海)にかえってしまう。

困ったペレウス父さんは、お友達で賢人と名高いケンタウロス族の賢者ケイロンに教育をむことに。

息子の成長を影ながら見守っていたテティスは、
戦争に参加すれば死ぬと予見して、
スキロス王のリュコメデスに
「誰にもアキレスだとばれないようにして」
匿ってもらうように手配。

そこでリュコメデスはアキレスを女装(ハァハァ)させて、
ピュラー(赤毛の娘)と呼び、自分の娘達と一緒に育ていた。

ところがこの女装子、オデュッセウスに見破られて、是非にと招聘されていた。

クリュタイムネストラはこの「縁談」を喜び、
イピゲネイアは心ときめかせ、
二人は揃ってアガメムノンの元に駆け付けた。

こうして、娘が婚礼の為にと持ってきた衣装は、死に装束となった。

クリュタイムネストラは当然怒った。

元々アガメムノンには、
美しいクリュタイムネストラを我が物とするために、
前夫を戦死するようにし向けた、という疑惑があった。

彼女は、夫に憎悪を募らせる。

この卑劣ともいえる作戦の「ダシ」に使われたアキレスも、総大将に怒りを抱いた。

兎も角も、逆風は止み、総勢10万のアカイア(ギリシア)軍は、
1168隻の大艦隊でトロイアに上陸したのだ。

トロイア側では軍議が開かれ、ヘレネを戻して和解するという提案がされた。
しかしパリスがこれに同意するはずがない。

予知能力を持つ妹のカサンドラが
「絶対負ける」
と預言しても断固拒否。

こうしてトロイア軍は強固な城壁を持つ城塞都市イーリオスに籠城することになった。

パリスは自ら弓を持って戦い、アカイアの勇者アキレスを討ち取る。
(弱点の踵に矢が当たったのが死因。一説に、戦乱のどさくさに紛れてアポロンが矢を放ち、殺したとも)
死したアキレスは、やはり戦死した部下で戦友のパトロクロスと共に火葬された。
なお、この二人は死後、母テティスが海上に浮上させた「レウケ島(白い島)」に埋葬された。
(お母さんが冥府の神ハデスに頼み込んで息子の魂を譲り受け、親友パトロクロス&お嫁さんのトロイア王女ポリュクセネ、それと自分の旦那様のペレウスの魂を呼び寄せ、家族揃って「暮らした」とか)

勇者アキレスを倒し、アカイア軍を意気消沈させたパリスだったが、
弔い合戦とばかりに登場した、「ヘラクレスの鎧」を纏った勇者ピロクテテスの

「ヘラクレスの弓矢・ヒドラの毒付き」の直撃を受ける。

瀕死のパリスは、
その怪我を治せるのが、別れた妻オイノネの作る薬だけと知り、
イデ山に登った

オイノネは、治療を拒絶した。

当然だ。
自分を捨てていった男だもの。

でも、これで反省して、自分の所へ戻ってきて欲しいという気持ちもあった。

だがパリスは戻ってこなかった。

目論見が外れたオイノネは、慌てて薬を持って夫を追いかけた。

しかし、時すでに遅く、彼は山を降る途中で力尽きていた。

ヒドラの毒に犯されていたパリスの体は酷く爛れていた。
それに、ヒドラの毒は触れただけでも命を落とすという。
おそらく、パリスの亡骸は誰も触れることが出来ない、
あるいは触りたくない状態となってのだろう。
その身は早々と火葬に付されていた。

間に合わなかったことを嘆き悲しみ、深く悔いたオイノネは、
その炎の中に身を躍らせた。


ともかく、パリスは死んだ。

これでヘレネがアカイアへ戻されるかと思えば、さに非ず。

パリスの弟たちが兄嫁を争って大喧嘩。
下の弟のデイポボスがヘレネを妻にすることが決まり、
これに不満を抱いた上の弟ヘレノス(カサンドラの双子の兄)は戦線離脱。
最終的にアカイア方の知将オデュッセウスに説得されてアカイア(ギリシア)へ投降してしまう。

戦は、双方に多大な犠牲を出しながら10年にも及んで続いた。

人々は知らなかったが、
決着が付かなかったのには、人知の及ばぬ理由があった。

神々までもがアカイア(ギリシャ)とトロイアに別れて、
それぞれに応援していたからだ。

パリスの審判で選ばれなかった恨みのある(?)ヘラとアテナ、
そして個人的にトロイア王に恨みを抱いていた(城壁を建造した際の報酬を踏み倒された)海神ポセイドンがアカイア(ギリシア)側に付き、
パリスに選ばれたアプロディテとその夫の戦神アレス、
アガメムノンへの怒りさめやらぬ狩猟の女神アルテミスと、
アキレスがあまりに残忍に敵兵を殺すのを見て憤りを感じたアポロンとが、
トロイア側に付いていた。

膠着状態を打開すべく、オデュッセウスは策を練る。
(アカイア軍には知恵の女神アテナが味方に付いていた)
オデュッセウスは名案を思い付き、それは実行された。


ある朝トロイア軍の斥候が、イーリオスの城壁の外に巨大な「木馬」があるのを見た。
周囲にアカイア(ギリシア)の兵の姿は無い。

トロイアの人々が
「アカイアの連中、逃げたかな? ウチの勝ちか?」
と、ぞろぞろと出てくると、木馬の側に一人のアカイア人を発見する。

捕らえられた男シノーン(オデュッセウスの従兄弟)は、拷問を受け、自白する。
「木馬はアテナ女神の怒りを静めるために作られた物だ。
 木馬がイーリオス城内に入ればアカイアが負けるという神託が下ったから、絶対に城内に入れられないくらい巨大な物を作った。
 味方は全部逃げ帰ったが、この木馬が城内に入らない限り、アカイアの負けにはならない」

これを聞いたトロイア軍は、
「これを城内に引き入れれば、アカイアが負けるという神託が下っている」
と信じた。
パリスの妹のカサンドラなど、諌める者達もいたが、
トロイアの人々は木馬を城内へ引き入れることにした。

確かに木馬は巨大で、城門をくぐることが出来なかった。
人々は城門を打ち壊し、かくて木馬は城内へ入り、アテナ神殿へ奉納された。

人々はこの戦利品を喜び、祝杯を挙げ、全市民が酔いつぶれるまで宴会は続いた。

夜も更け、人々が寝静まった頃、
木馬は動いた。

内部に潜んでいたメネラオスやオデュッセウス、小アイアスなどと言った勇士達が抜けだし、
松明で味方に合図を送る。
すると壊された城門からアカイア(ギリシア)軍が侵入。

メネラオスはデイポボスの館へ駆け、デイポボスを斬殺。
戦の原因であるヘレネをも殺そうとした。
しかし、惚れた弱みか、どうしても手にかけられなかった。

油断して酒に酔い、眠りこけていたトロイアの人々は
突如現れたアカイア軍の前に為す術もなく討ち取られる。

メネラオスはデイポボスの館へ駆け、デイポボスを斬殺。
戦の原因であるヘレネをも殺そうとした。
しかし、惚れた弱みか、どうしても手にかけられなかった。

どさくさ紛れに小アイアスはアテナ神殿でカサンドラを暴行(性的な意味で)。
どさくさ紛れにアガメムノーンはカサンドラを「戦利品」として略奪。

かくてトロイアの国は滅亡した……。

というのが、エリスをきっかけに起きたトロイア戦争&トロイの木馬のお話。

小アイアスは神殿で非道を働いたためアテナの怒りを買い、
帰路に船を沈められて溺死。

オデュッセウスは様々な苦難に遭い、
帰郷するまでに10年の年月と艱難辛苦がかかった。

アガメムノーンは怒り狂う妻クリュタイムネストラに暗殺される。

そしてメネラオスは神への供物を怠ったために、
ヘレネーを連れてスパルタへ帰る途中、暴風に煽られてエジプトへ漂着し、
8年戻れなかった。

という戦後の余談が付いて、激終。

なんだけど……。

実はこの戦、裏でゼウスが糸を引いていたらしい。

増えすぎた人口を調整するために、法と掟の女神テミスと計って、導き出した方法。
それが、「戦争により世界の人口を半減させる」ことだった。

だから神々の争いに王である自分が裁決を下すことなく、第三者的な「人間」を利用し、
戦争が始まって自分の兄弟や女房や子供たちがあっちに付いたりこっちに付いたりしているのに、
(婚外子とは言えど子供であるヘレナやポルックスが戦の渦中にいるのに)
本人は中立を保ったり(というか、積極的に何かしなかった)したわけだ。

まあ、一番怖いのは、やっぱり荒ぶる神だってことかね。

エロ神サマのクセに……。


TROY無双
TROY無双
posted by 何処苑雫零霞 at 17:53| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2011年10月24日

ただ父のみ知り給ふ

誠に汝らに告ぐ、これらの事ことごとく成るまで、今の代は過ぎ往くまじ。
天地は過ぎゆかん、されど我が言は過ぎ往くことなし。
その日その時を知る者なし、天の使たちも知らず、子も知らず、ただ父のみ知り給ふ。
新約聖書(文語訳)
マタイ伝福音書 24章34-36節
イエス自身が
「世界滅亡の日取りなんて、天使どころか私だって知らないんだ。知ってるのは神様だけだよ」
と断言していることを、
天使でもキリストでも、ましてや神様でもないヒトが、
正確にわかるわけないじゃんよ。
posted by 何処苑雫零霞 at 21:19| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

スティーブ・ジョブズ氏の伝記

全世界で一斉に発売されるという、ジョブズ氏の伝記の作者ウォルター・アイザックソン(Walter Isaacson)さん。

アイザックソンさんといえば、
アインシュタイン伝記本が酷い翻訳の所為で回収される
という、本人は全く悪くない「事件」で
日本でも有名になってしまった伝記作家さんですが、
今回は流石にそんなことはないだろうと……。

版元も違うみたいだし。
スティーブ・ジョブズ I
スティーブ・ジョブズ I
ウォルター・アイザックソン (著), 井口 耕二 (翻訳)
出版社: 講談社 (2011/10/25)

ちなみに回収騒ぎになったのは
アインシュタイン その生涯と宇宙 下
現行販売されている物は、ちゃんと修正版になってます。
posted by 何処苑雫零霞 at 21:03| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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